プロローグ(2019年12月放送) 初日
H26年12月作成 中央防災会議 首都直下型地震対策検討
ワーキンググループからの資料をもとにリアルなドラマを制作。危機感を持って欲しい。首都直下型地震を身近なこととして捉えていない。備えも進んでいない状況の中でNHKとしてはドラマの中ですけれども、再現した。
内閣府被害想定 2013年 30年間で70パーセントの推定で起こる。
地震のマグニチュード7.3
最大震度7の直下型地震。 東京23区のほとんどが震度6強。
首都直下型地震の最大の課題は、「どこで起きるかわからない。首都圏のどこでも起こりうる。私のところは大丈夫、ということはありません。だから、自分の家の備えとしては、震度6強が起きても大丈夫なように、家具もしっかり固定しておかないといけない。
死者 2万3000人 負傷者 12万3000人
倒壊:
豊島区、練馬区、板橋区、北区 色が赤い地域では全壊する建物が多い。
火災:
世田谷区、杉並区、中野区、足立区、品川区、葛飾区、江戸川区などでは大規模火災が発生。逃げ遅れて火災に巻き込まれる人の数は、内閣府の想定では2万3000人の死者のうち1万6000人に上る。
火災旋風:
風速60メートルにも達する巨大な炎の渦。人や建物を吹き飛ばし焼き尽くす。高さ230メートル、幅130メートル。広い範囲で燃え尽きた木材や家屋の一部と見られる残骸が・・
関東大震災と同じような最悪な人的被害が起こるんじゃないか?関東大震災では、4万人が避難していた広場にいた人の9割以上、3万8000人が亡くなっている。
同時多発火災:
焼失建物41万2000棟、火災による死者1万6000人
木密地域:
木造住宅の密集地。延焼棟数は12,973棟
延焼運命共同体:
運命を共にするという意味で。東京におよそ70箇所もあることが明らかになっている。
木密地域の火災では、想定をはるかに上回る被害も起こりうる。安全だと思っていた避難場所のそばで火災が起きていた場合、大勢が炎にまかれ犠牲になります。他の避難場所でも同じことが起こると犠牲者は地区全体で4,400人以上。想定の10倍。
杉並区や世田谷区では消防車が渋滞に巻き込まれるなどして消化活動は進まないことが予想される。
中林:東京区部で大体、最終的には700件くらい火災が出るんです。10時間後くらいだと、500件くらい。消防車で消そうと思ってもポンプ車の台数は、区部に500台しかないんです。
北斗:自分たちで消す方法はないんですか?
中林:燃え広がりだすと、もう止めようがない火災なので。燃え広がる前に止めないと。
赤松:最終的には20万棟が消失すると、最大で2日間燃え続けると想定されています。
阪神大震災ですが、最終的に7,574棟を巻き込みました。
テリー:消防車が現場に行くことすらできない感じですね。そこから逃げ出さないといけない。
中林:火災が発生した周辺に、全部、消防車を並べてもホースが届かないと、どうしようもない。 普通、火災って、1時間かかると一棟が丸焼けになる時間なんです。最低2台の消防車で、両側から水をかけるんです。片方からかけると、水の勢いで風邪を生んで、火の粉を向こうに飛ばしてしまうんです。だから、サンドイッチにして、消し止めるんです。それができないと水かけても下手をすると火災を広げちゃうんですね。だから、燃え出すと非常に大変なんです。
通電火災:
首都大学東京名誉教授 中林一樹さん
中林:それは通電火災の防止ですね。電気火災を防ぐためには、ブレーカーを落とすことが大事です。でも、夜だと真っ暗になってしまう。
小野アナ:停電の後、電気が復旧したときに、故障した電気製品から火が出たりコードから火が出るのを防ぐために、ブレーカーを落とす。
中林:避難所に行こうとするときに、特にブレーカーを落とすことを忘れないでください。そうしたら留守宅から火災が起きない。
小野アナ:初期消化だけでもできるようになりたい。
中林:まず、消化器を買って、すぐ取り出せるところに置いてください。そして、消化訓練をしてみてください。やらないとダメです。怖いと遠くから消そうとする。それだと届かない。なるべく近くに行って、火元にかけないといけない。
目の高さまで消せる、と言いましたが簡単じゃない。バスタオルをびちょびちょに濡らして、水が滴るやつを広げて持っていく。そして炎をタオルで押さえるんです。近づいて、タオルをかけないと消えませんから。そして、上からもう一度、水をかける。そうすると酸素がなくなって消せます。真似事でいいからしてみましょう。
群衆雪崩:
群衆雪崩(なだれ):避難のさなか、突然発生する、大規模な将棋倒し。
首都圏は、政治や経済の中枢機能が集まり、3000万人が暮らす。
群衆雪崩:東日本大震災の後の帰宅困難者の様子。身動きが取れない。
中央区、港区辺りに人口(働く人)が集中している。
帰宅困難者は800万人
明石の事故 死者11人、負傷者247人
地震の後の帰宅困難者を研究する東京大学、廣井悠 准教授
地震の後は、誘導する人がいない。足下が見えないで地震被害が起きていると、つまずいてしまう可能性がかなり高い。群衆雪崩とか将棋倒しが起きる可能性があります。
その1つ、東京・丸の内。赤で表示された場所は1平方メートルあたり、6人以上の超過密状態。
渋谷、新宿、赤坂。都内に30箇所以上が極めて危険な状態。
1平方メートルあたり10人以上の状態では、270キログラムの圧力がかかる。3人に一人が呼吸困難に。ちなみにラッシュアワーの電車で1平方メートルあたり6人。
群衆事故が起きるとどうしても体力的に弱い、お年寄り女性、子供に被害が集中する。
帰宅は避けて安全な場所にとどまる。
帰らないという選択、慌ててビルから出なくてもいい。新しいビルは絶対に倒れませんから。
昔は、まず、家の外に出ましょう、と言われていましたが・・・。
外へ出ようと思うと、火災現場を歩くしかない。火災の外側にいるのに内に入ってしまうことになる。だから、帰る方が危ないんです。途中で何が起きるかわかりません。だから、帰宅困難者になっても、都心の方はとどまってください。
地震洪水:
首都大学東京名誉教授 中林一樹さん
都内には、川が近いゼロメートル地帯がある。
葛飾区、足立区、江戸川区、江東区、墨田区など、市川市、浦安市、船橋市なども
現在176万人と言われている。
水面よりも2メートル低い土地が広がっている。 台風19号の際にも川が氾濫した。
堤防が決壊、あるいは堤防をオーバーした水が、東京の広大な近空間まで移動して、水没する恐れがある。
東京駅の地下をはじめ、17路線で81駅が水没する予測もある。
水は下に行くので、地下鉄に水が入ると、大変なことになる。(電車が止まるだけでなく水をかき出すなどで復旧が困難)
川が近くになくても、水没の危険がある。
江戸川区、水害 ハザードマップ
台風で大雨になると、危険が増す。
DAY 1 (地震当日)
建物の崩壊、大規模火災
首都大学東京名誉教授 中林一樹さん
首都直下型地震 1日目で起きたこと
最大震度7 首都直下型地震発生
ビル 家屋など多数が倒壊
都内で土砂崩れ 列車脱線
停電 一都三県の約5割
各地で大規模な火災発生
帰宅困難者800万人か
東京各地で“群衆雪崩”発生
内閣府の想定ではこの地震によって
揺れによる全壊 約17万5000棟
焼失 約41万2000棟
帰宅困難者 約800万人
死者 約2万3,000人
負傷者 約12万3,000人
渋谷区 災害対策本部
群衆雪崩を防ぐために、どの施設に何人誘導できるか?
どの施設がまだ受け入れ可能かわかるようになっている。防災ポータルを公開している。
収容可能人数(協定を結んでいる)
青山大学 渋谷4-4-25 1500人
国学院大学 東4-10-28 0人
セルワンタワー東急ホテル 桜ヶ丘26-1 660人
などなど・・・
渋谷区内の様子を映像で見たり帰宅困難者の受け入れ状況を見たりしながら対策を取る訓練を行っている。
この渋谷区が特に重視しているのが、帰宅困難者の対策です。
渋谷区の例 この訓練でも、こちらのモニターを使って、帰宅困難者を地図に書き込みながら・・・ 青い数字に一万と書いてあります。また、左上の方には、3万人と書いてありますが、恵比寿や渋谷駅の辺りに1万人や3万人の人が、避難場所に誘導するかについて検討しています。渋谷区では、こうした事態を想定して誘導訓練を年に3回行っています。 外国人観光客も多いことから英語や中国語などで避難誘導の呼びかけを行いました。 さらに、避難場所の方向を示す矢印を設置するという(シブヤ・アロープロジェクト)取組も始めています。https://shibuya-arrow.jp 渋谷区防災アプリ https://www.city.shibuya.tokyo.jp/anzen/bosai/app_bosai.html 高架下の壁などに近くの避難場所の方向を示すサインを設置予定。 |
中林:先程の渋谷区の本部でもやっているように、帰宅困難者のための、つまり会社に勤めている人は、自分の会社。大学生は、自分の大学、青学の人は青学ということになるんですけど、行く場がない人がいますよね。買い物に来たりしてて。そういう方のために都と区が施設とかと協定をして受け入れてもらっている(イグナチオ教会もそう)。この近くでいうと代々木の体育館も。そういう帰宅困難者を受け入れる施設。それは、一時滞在施設と言ってるんです。
避難場所とか避難所というと、これは、実は住んでる人が前提になってるんですね。
中林:そうなんですが、その前に安否確認をして、安全なのか、急いで帰らないといけないのかを確認する。ツイッターにもあったように、安全にするためには日頃の備えですよ。北斗さんのおうち、家具を全部固定するとかして、一人でいても絶対に怪我をしないようにする。怪我をしなければ、もうちょっと待ってねって、言える。安全になってからお母さん、帰るからって。私が怪我をしないように頑張るわって。
中林:3.11でも、車は動きませんでした。ネットで調べて帰宅困難者が500万人いたんですが、そのうち、何とか家に帰れた人が84%。被害もあまりなかったところで時間はかかりましたが、帰れました。その方に、もう一度地震に遭ったらどうしますか? と質問したところ、「同じように歩いて家に帰りますって答えた方が84%でした。
被害がほとんどなければ、多分、歩いて家に帰れる。
井ノ原アナ:東京の場合ですね。
中林:ところが、首都直下型地震では、火災が発生する、家は倒れる。そういう状況の中で、もう一度、帰れないんですよ。
小野アナ:東日本大震災の時、無理して帰った人は、家に帰ってものすごく家族に喜ばれたと思うんです。その記憶が・・・。
井ノ原アナ:また帰るぞって。
中林:その成功体験が首都直下型の時には、失敗につながるんです。
井ノ原アナ:みんなが知っておかないと。
中林:しゃがみ込んでしまう。歩けない。どこにしゃがみ込むかというと、安全な場所にしゃがみ込むんですね。小学校の防災訓練で机の下に潜りますよね。大人も一緒です。あの画面では、潜り込む場所はテーブルだけでした。入らないと上から落ちてくるものを防げない。
それから家具を転倒防止にすると、あんなに壊れないですね。まず、一番怖いのは食器棚。食器棚を倒さない。同時に、食器棚は観音開きなのでそのドアにストッパーをかけないといけない。そうすると中のものが落ちてくることがない。
DAY2 多発する未知の脅威 (地震から2日目)
中林 一樹さん(首都大学東京名誉教授)
食べ物が足りない。300万人を超える避難者に対して、水や食べ物が大幅に不足します。
大規模火災は鎮火したものの、停電からの復旧によって各地で通電火災が発生します。
地震から2日目
各地でビル倒壊、大規模火災も
火災旋風が都内100箇所超で発生
倒壊建物に閉じ込められている人がいまだに5万人
SNSデマが原因で将棋倒し発生
東京湾岸で化学工場が爆発
携帯が通じない“広域通信ダウン”が発生
火災旋風
画面中央に竜巻のような炎の渦が確認できます。これは火災旋風と呼ばれる現象です。高さは推定200メートル。火災旋風は、火災の上昇気流と周囲の風が影響し合うことで発生すると言われてます。地上付近では、辺りの木造家屋の屋根などが、次々と巻き上げられています。これまでに東京23区の少なくても100箇所以上で火災旋風が発生しています。火災旋風から14時間後、今日午後1時ごろの世田谷区の映像です。火災旋風が通ったとみられる跡が、はっきりと確認できます。広い範囲で燃え尽きた木材や家屋の一部と見られる残骸がバラバラになっています。
テリー:世田谷区方面は、2階建ての民家が多いですからね。
大森:建物の崩壊で閉じ込められている人は今も5万人いるんですよ。あまりに多過ぎてほとんどの場所で救助の手は届いていない。もしも報道をきっかけに救助が動き始めたら、それこそ放送の私物化になりかねませんかね。
地震発生から34時間がたった今も、自宅に戻ることができない帰宅困難者は東京都を中心に640万人から800万人に上るとみられます。
田所:広域通信ダウンだ。携帯は完全に通じなくなったぞ。
ミサオ:あたしの携帯圏外になってる。あんたのは?
山田:通信手段が絶たれてしまったら、閉じ込められて救助を待ってる人たちには・・絶望しかない。
“広域通信ダウン”
赤松:このドラマの中の“広域通信ダウン”という言葉は、今回、私たちが取材に基づいて作った言葉なんです。実際、地震のときには携帯がどうなってしまうかというと、消防や救急への連絡を優先するので、通信制限がかかります。ですから、つながりにくい状態が続いてるんですね。それが突然、全く通じなくなってしまう地域が出てくる恐れがあるんです。2019年、台風15号で大きな被害が出た千葉県。広い地域で、携帯での通話やインターネットへの接続ができなくなりました。スマホが全然つながらないので情報が届かない、全くの陸の孤島という状態になりました。
ある市長
行政機関同士の連絡も取れないし、各医療機関、福祉施設等の連絡も取れないので、このことが一番困りました。
携帯電話の通信に障害が発生した市町村は、ピーク時には全体の8割に達しました。
なぜ、大規模な通信障害が発生したのか?
原因は、停電によって携帯電話の基地局の一部が、電波を出せなくなったからです。基地局は通常、停電になってもバッテリーなどで24時間程度は稼働できます。ところが、今回の台風では道路が寸断。バッテリーを交換するなどの対応ができなかったため、2500ヶ所の基地局が機能を停止。大規模な通信障害につながったのです。
井ノ原アナ:2,500ヶ所もあるんですね。全部行くわけにはいかないですけど・・。怪我をする方もいるわけでしょ。
ブラックアウト
緊急を要する救急車を呼びたい時も、連絡の取りようがない。
赤松:最悪の場合、首都圏では電力が一斉に失われるブラックアウトになる恐れもあります。
そうすると、広い範囲で大規模な通信障害が起こる可能性があるんです。
北斗:でも、そうなった場合、テレビとだって電気がダメになったら、落ちちゃうじゃないですか。その場合、私たちはどう周りの情報を仕入れる? そのすべってラジオですか?
井ノ原アナ:最悪の場合、ラジオ局とかテレビ局が被害に遭わないとも言い切れないわけですよね。
中林:言い切れないし、ブラックアウトはそこの電力も消えてしまいますから、非常電源で回して3日間とか、できれば1週間くらいは非常電源で放送できるようにしておかないといけない。
小野アナ:そういうふうに、NHKもそして、他の放送局も災害時にちゃんと役立つよう、どんどん体制は整えています。
テリー:携帯ラジオを持っているのは、(役立ちますね。)
中林:災害は、悲観的に想像する。対策を一つでもいいから、楽観的にする。一つやったら、絶対に一つ効果があるんです。 井ノ原アナ:試しに、みんなで楽観的に試してみることが大事ですよね。 中林:自分でやれることからやればいいんです。 テリー:あとは家族で話し合ってくださいね。 |
DAY 3 命の瀬戸際 新たな危機 (地震から3日目)
小野アナ:東京の夜景は真っ暗。火災が止まったのは、焼け止まった状態。焼き尽くした、燃えるものがなくなってしまった。実際は匂いもすごい。被害の全貌がようやく、朧げながら見えてきます。
地震発生から52時間、3度目の夜を迎えて避難所では物資の不足が深刻な状況になっています。
避難所では乳幼児や高齢者、女性などの特別な物資ニーズに対する救援物資が不足しています。
粉ミルクや生理用品などが不足しています。
男性:中継のヘリから新しい情報が入ってきました。今、メインに出します。港区中麻布のパワーマンションで火災が発生してます。
男性:どうしてもエレベーターを動かしてほしいという、住民の声で、管理組合が全戸の安全確認が取れないまま、電気を通して、留守の間に、通電火災が起きたようです。
山田:住民の要望で? ありそうな話だな。
大森:それにしたって、パワーマンションは防災対策の塊のだろう。なんでこんなになってんだろ! スプリンクラーは稼働してないのか? 防火扉は? 消防にも確認とってくれ。
倉石:タワーマンションから火の手が上がっています。現在の東京港区、中麻布です。40階建てのタワーマンションの一角が激しく燃えています。大量の煙が大きく立ち上がっています。屋上に手を振っている人の姿が見えます。十人近くいるでしょうか? 救助を待っています。タワーマンションが炎と煙に包まれています。この火災は、電気が復旧したことで起こる、通電火災とみられています。
被害前提の振り返り
赤松アナ:建物から。世田谷区、杉並区、江戸川区、葛飾区、足立区、に赤くなっている延焼棟数が多い地域がある。
全壊・消失棟数は約61万棟 24棟に1棟が消失
帰宅困難者は地震当日は800万人 都内だけで490万人 電車は大部分が再開の目処が立っていない。食べ物がない。
自宅が消失などして避難している人が300万人→2週間後には720万人
そのうち避難所に入る人が180万人
残り120万人 避難所以外の公園などで避難生活を送っている。車中泊の人も。
自宅にいた人たちが、停電や断水で生活できなくなって避難所にくる。しかし入りきれない人も。
その中には本来、来ることが想定されていない、マンションの住民も。
マンションの住民は在宅避難が原則:水・食料の備蓄が必要。
小野アナ:また、体育館に避難した人の食料も十分あるか? という問題があります。
こちらが、自宅に住めなくなっている人が身を寄せる、東京23区の指定避難所です。随分あるように見えますが、これでも入りきれないようになり、そして、食べ物も足りなくなってしまうんです。
避難所の一人当たりのスペース:一応、隣とはダンボールで仕切られてはいますが。自治体によって大きさ、内容(仕切りがあるかどうか)は変わります。
段ボールベッド、しっかりはしている。避難する人が多いと、毛布があるかもわからない。枕は自分で持ってこないといけない。
食事 水を入れると食べられるアルファー米、クラッカー。場合によってはわかめご飯も。
内閣府の想定では 1週間で 食料 3,400万食不足 水 1,700リットル不足 |
避難所に行くとしっかり食料がある、備蓄がある、と思わない方がいい。
中林:基本的には避難所に行ってもらうのではなくて、一人一人が備蓄をしないといけない。最低3日分。できれば1週間〜10日。その間、家があれば在宅で生活をする。避難所は、地域の避難所の生活の運営センターにしなければいけない。避難所に来てる人、在宅で避難している人、お互いに両方に食料が行き渡る手配をする拠点にしなければいけない。
小野アナ:もう一つ食事が足りなくなる原因を知っておきましょう。
赤松アナ:食料が足りなくなる原因に道路の状況があります。建物の倒壊によって車が通れなくなる場所です。杉並区、世田谷区、目黒区、足立区、葛飾区、江戸川区の道路が20〜30%不通になる道路が発生する予想です。
これだけじゃないんです。特定緊急輸送道路、である環状7号線などの一部で、建物も倒壊で車が通れなくなってしまう恐れがある場所があります。その部分が赤く表示されています。
中林:東京都はこういう緊急路線の確保の対策を取って沿道のビルに対して耐震化を義務付けている。その前に、診断を義務付けている。耐震性は問題があるけど、まだ工事してません、というのがどこにあるかわかっている。
新川:これだけ食料・物資が不足する中で、道路が通れなくなると、救急や病院にも支障が出てくる。
井ノ原:東京だけでなく全国で物が足りなくなりますね。
赤松アナ:地震から55時間後、3日目のライフラインの状況です。
電気ガス水道の状況
停電 870万世帯
ガス停止 150万世帯
断水 1,300万世帯 都内ではおよそ5割が断水したまま。
その後一部復旧しても1週間続きます。
新川:生活ってレベルではない。病気の方、医療にも影響が出る。
通電火災の対策
消化器と感震ブレーカーです。この赤いボールが重石になって、揺れると下に落ちて電気を遮断します。これは一般に販売しています。避難所に移動する時に、動揺してブレーカー落とすの忘れがちですし、落としに戻るのも危険だし・・・。これはお勧めです。
こうした通電火災の防止をすると、被害想定が43万棟の焼失が23万9000棟に
死者は1万6000人から9000人に減ることになります。
さらに初期消化(消化器など)をすると、焼失が2万1000棟、死者が800人と、20分の1になります。この初期消化のためには、お風呂に水を溜める、みんなで防火訓練をするなど、意識の向上も求められます。
井ノ原:これだけ減るなら、今やるべきですよね。
小野アナ:消化器は実際に何かを消す訓練をしておいた方がいいですよ。いざという時に使えないですから。
中林:火災の半分は電気で、ブレーカーを落とすことでなくす。それ以外の火種でも燃える。それは初期消化をしよう。街ぐるみで訓練をして、「火事だ!」と叫んで、隣近所で消化器、水を持ってきて、みんなでやる。そうしたら消せる。
井ノ原:町内、自治体などで集まってする。
小野アナ:救助を待ってる人のこと、気になりますよね。実は、救助されて病院に運ばれた後にも怖いことがある。
赤松アナ:怪我をして病院に運ばれた後、どうなっているか? ご覧ください。
これは、首都直下型地震を想定した、病院の初動訓練の様子。
押し寄せた患者に対して、限られた医師たちが、優先順位をつけるトリアージを行います。
トリアージ
黒:無呼吸
赤:最優先治療 命に関わる人
黄色:治療待機 緊急性がそこまで高くない人
こうして一人でも多くの命を救おうとするんですが、最新の研究で驚くことが出てきました。
日本医科大学の布施 明教授
地震直後に駆けつけられる、医師と看護師の数と、病院に運び込まれる患者の数を時間を追って検証しました。
医師はまず赤の患者(緊急性が高い患者)の治療から行いますが、患者の数が多い場合、全員は治療できません。3時間後には亡くなる方が続出。その間に、未治療の黄色い患者の容体が悪化し、24時間後には、その多くが赤に進行することになる。その結果、ますます治療が間に合わなくなり、亡くなる人が急増。病院で3人に1人が死亡する、と予測。
布施:助けなきゃいけない、傷病者の方でも処置ができなくて亡くなられる方が非常に多く出る可能性がある。首都直下型地震では、医療スタッフ、医療資機材が足りてない。圧倒的に不足しているということが、原因としてわかってきた。
地震によって、医師や看護師も被災しているので、病院に駆けつけらないことも考えられる。
地震発生から8日間で、未治療の死者が6500人。
この数ですが、内閣府の被害想定の2万3000人の死者には含まれていない。
中林:とりあえず専門家が治療するですが、全部できないので、自分の判断で、歩ける怪我人や病人は大病院を避けて地域の医療所などへ行く。避難所に救護所ができますので、そこで診てもらう。大病院で重篤な人を診てもらう。
避難所に行く人は、毎日飲む薬は2週間分の薬を備えておく。必ず、それを持って避難する。食料と一緒にストックしてそれを持っていく。でないと、避難所で具合が悪くなって病院に搬送される。ますます病院が混んでしまう。
井ノ原:怪我をしないことが大事ですね。
中林:大怪我をしないために、あらかじめ家具の転倒防止、自宅の耐震化をする。特に台所が危険。それから足を守るようにしましょう。足を怪我しないようにスニーカーを履く。スリッパは暗がりで抜けたらもう拾えない。
井ノ原:ベッドの横に置いておいた方がいい、と言われますよね。それと軍手。
テリ:車のキーはつけたままで移動する。そうしないと、車を動かせなくて渋滞を引き起こす。
中林:車を運転しているときの注意点としては、運転していても揺れるとわかりますので、右に寄せて止まる。そして、車を離れる時には、鍵を置いておく。消防が来た時に、動かせるように。車取られる心配があるなら、車検証だけ持っていってください。
小野さん:帰宅困難者は無理して帰っちゃいけません。車の人たちも、とりあえずどこか安全なところへ入る。渋滞が酷くてガス欠で止まったら本当に大変なことになる。迷惑をかけてしまう。基本的に車は動かさない。
DAY 4 (地震から4日目)
地震から78時間経過 夜10時過ぎ 行方不明者の救出が続いています。昨夜の余震によって被害はさらに拡大しています。
男性:昨夜の揺れで、ビルが倒壊して、一旦開通した環状8号線が再び不通になりました。そのほか、山手通りや第1京浜、数十箇所で開通した道路が不通になっています。
女性:2度目の激しい揺れで、耐震基準を満たしていた建物にも倒壊の被害が多く出ました。
男性:最も被害が大きかったのはここです。横浜市港北区です。今回の地震では、大規模な土砂崩れが30箇所で発生、400棟以上の家屋で損害が出ています。
地震洪水
江戸川区で氾濫が起きた時のシミュレーションです。これはあくまで、台風の高潮が起きた時に堤防が決壊した場合ですが・・
青く広がっているのが水の動きです。その後にオレンジ色のパパッと出るのが逃げ遅れた人を表します。つまり、犠牲者です。決壊の影響を受ける人は51万人、推定の犠牲者は3万7000人で
赤松アナ:これ一度、紹介しましたが、海水面を表した地図です。
青が濃いところほど、低くなっています。(港区、江東区、江戸川区、葛飾区、足立区、浦安市、市川市、船橋市など) ゼロメートル地帯に176万人が暮らしています。荒川が水色の線、その両側が要注意点です。荒川の堤防が、台風や高潮で決壊する危険性は、これまでにも指摘されてたんですが、地震による想定はこれまでされていませんでした。というのも、地震に揺れに耐えられるように設計されている、と安心していた。ただ、熊本地震がありましたよね。震度7の地震が2回ありましたが、その後は、地震で堤防が決壊する危険があると指摘されるようになりました。
荒川の堤防が決壊すると、水位が、3メートルくらいになります。江戸川区の一番低いところに、高さ3メートルの水が襲ってくる(満潮時)。
小野アナ:この水が、堤防を超えてくるときの勢いがすごい。
井ノ原:地震の後の津波の心配はありません、と言われても安心してはいけない。
赤松アナ:この高さは、大雨が降ったり、高潮が来たり、という場合ではなく平常時で、この高さになってしまう。
井ノ原:これで台風が来たら、もっと高くなる。
赤松アナ:地震に加え、台風によって水位が上がると、さらに被害が大きくなる、そのことが最新の研究でわかってきました。
こうした最悪のことが起きた場合、東京はどうなってしまうのか?
シュミュレーションによれば、堤防を決壊した水は、付近に広がるだけでなく、都心の地下鉄の中にまで侵入することがわかっています。地下鉄に流れ込んだ水は、トンネルをつたって、他の路線にも侵入。東京の地下空間を水没させていくのです。最終的には17路線、97駅が浸水。さらに、水は、地下だけでなく、都心の広い部分を水没させてしまいます。
二瓶泰雄教授:地震は地震、洪水は洪水ってそれぞれ考えの事象で対策は考えられるんですが、もし同時期に起こったらどうなるのか? そういう意味で首都直下型地震も考えるべきことはいっぱいある。
地震洪水→地下にいたら慌てずに地上へ避難
「ここにいてはダメです」(江戸川区)
江戸川区は、堤防決壊の前に、一刻も早く避難するよう、強い言葉で呼びかけています。
「江戸川区ハザードマップ 水害(洪水・高潮)」
ゼロメートル地帯の住民の意識は少しずつ変わり始めています。台風19号では7500人は避難勧告を待たずに自主的に避難。
赤松アナ:備えを具体的な行動に結びつけてる人というのは、備えのトライアングルがあることが見えてきました。まず、①どんな災害があるのかを知る、②知ることによって危機意識が高まる、危機意識によってさらに知るようになる、知ると危機意識があることによって③備える行動につながる。 |
このトライアングルが備えの強化につながる。しかも、この矢印が、③備えることを知ると、もっと①知りたくなって、②備えると危機意識がもっと高まる。
この番組も、①知る、ところから→②怖いな、という危機意識が芽生えて、③具体的に行動しようじゃないか、もうちょっと先生にも教えてください、となる。またさらに、①、②、3となる。
中林:これが防災のスパイラル。どんどん防災力が上がっていく。これだけやっても、十分というところまでいけない、ですけど。
① 忘れるになると、逆のスパイラルになる。②大したこと起きない、③何もしない。
自分のことは自分で守る意識を持っていないと、この番組が終わって、1週間過ぎると、また日常生活の戻ってしまうんじゃないか? 今日も恐怖心のようなものが、忘れてしまうかもしれない。でも、忘れないで明日、じゃ、何ができるかということを、家族や職場の人と話し合ったりして、できることをやっていきたい。あの時、やっておけば良かった、ということがないように。
パラレル東京と同じようなことが東京で起きてしまったらと考えると、やっぱり、もっともっと備えておかないといけない。恐怖心を忘れないで、できることをもっともっと、「あれも必要、これも必要」と出てくるものをたくさん備えることが大事なのだと感じた。
この「怖い」という感覚が一番必要なんじゃないか、と思いました。
本当に、備蓄を用意することは大事だと思ったんですね。でも、その前にやらないといけないこと、ブレーカー遮断機の取り付け、消化器の購入、火災を大きくしない工夫、自分自身、心算が大事だと思いました、自分を守るすべがあるのを学びました。
「終わりの見えない被災 どうなる?日本の未来」放送6日目
首都直下型地震が起きたらどうなるか? 4夜連続で時系列でお伝えしました。
火災旋風、群衆雪崩などによって2万3000人が亡くなる過酷な現実が見えてきました。
しかし、それで終わりではありません。専門家が指摘するのは、1週間、1ヶ月、1年と終わりなく続く被災の連鎖です。
停電や断水など、複数の要因が重なって起こる病院の機能停止。
一度は助かった7,449人が 発災8日間に亡くなる恐れがあることがわかりました。(未治療死)
さらに影響は全国に拡大、国内のペットボトルの水が13日間で底をつき、多くの命が脅かされることになる可能性も見えてきました。
被災の連鎖は長期に及、社会を根底から揺るがす事態になりかねません。
発災から1年後には、日本を見限った企業が海外に次々に移転。産業や経済が急速に衰退する恐れも。
首都機能が麻痺することでかつてない危機に陥るのです。
災害経済学 防災科学技術研究所
永松 伸吾主幹研究員
日本が長期的に衰退していく終わりの始まりがまさしく首都直下型地震、なのかなぁ、と
首都直下型地震がもたらす終わりの見えない被災、その全貌に迫ります。
今日で地震発生から6日目を迎えています。 125時間が経過
避難所に入れない人が多く発生→隠れ避難所の発生:首都直下型地震の避難者は720万人(内閣府被害想定)オフィス、ホテルのロビーなどに身を寄せる。→行政による実態把握ができなくなる→衛生環境の悪化→ストレス増大→被災者同士のケンカ 感染症の拡大・関連死リスク 物資の不足→低栄養状態・窃盗→治安の悪化・住宅難民の発生 |
6人の専門家によって、これまで想定されてなかった被災の連鎖をあぶり出していきます。
被災者支援の専門家がまず指摘したのは、ライフラインの途絶が長期化すること。
国崎:1週間以上、電気も水もガスも復旧までに時間がかかるのかな、と思っています。
そのことが大きく影響するのが、医療の分野が麻痺すると指摘します。(病院が)受け入れができない状態になる可能性もある。そうすると、最悪の結果になってしまう可能性もある。
想定される重傷者は2万1000人。災害時の対応に当たる220の病院では、医療スタッフが圧倒的に不足します。さらに、停電や断水によって一部の病院の機能が停止したとなると、発災から8日間で治療を受けられずに亡くなる人は、特に揺れが激しい東部に集中し、7449人にのぼる。病院にたどり着いたにも関わらず、3人に1人は救えないことが今回初めてわかりました。
停電が長引いた場合、非常用の電源や貯水槽が最初の数日しか持たず、治療を続けるのは困難になると言います。
等潤病院 伊藤雅史院長:目の前に押し寄せてくるかもしれない、重症患者にどれだけの医療ができるか? 全ての人を助けたいという思いを医療者みんな持っているけれど、でもそれは現実的には難しい。そこは残念ながら現実だと思います。
道路陥没・土砂崩れ・車の殺到(物資搬送・ボランティア・域外避難)・放置車両
→交通渋滞→救助の遅れ・物資の輸送困難・転院困難・医薬品不足
東京だけで約10万人が入院している。転院しようとしてもなかなかできない。
透析患者が3万人
道路が寸断されていて転院できない。
首都直下型地震では、これまでにない深刻な水不足が起きる。
防災科学技術研究所 鈴木進吾 主幹研究員:1週間後でも3600万人強が断水している。
近年の被害から行ったシュミュレーション。
断水範囲が広く、3600万人が水が使えない
断水の大きな要因は水道管の破損
しかし、耐震化は進んでいません。1998年から工事をしていますが、2018年度末で約4割
全て終えるにはあと数十年かかる。
断水の際、命綱となるのはペットボトルの水。しかし最新のシュミュレーションによると、日本全国からペットボトルの水が13日目でなくなってしまいます。
大人が1日に必要な量は3リットル。被災した時点で、全国の全ての水を首都圏に届けると仮定すると、地震発生から13日目、日本中の在庫が底がつくことが分かりました。
この時期、全国各地で起きうる、ペットボトルの水の買い占め。
アナ:地震が起きると全国から水が消えてしまうと言われているので、1週間分を確保するとこれだけになります。(2リットルを10.5本 4人家族なら 42本)
トイレの水も含めて3リットル(水道水を溜めておく方法もある)
これだけの量を置くスペースがない、マンションだと運べない
被災ツリーでは、
水不足→トイレ使用困難→トイレを我慢・膀胱炎・尿路感染症など・・・心筋梗塞・脳梗塞などの増加 血液の循環が悪くなる
歯磨きがなかなかできなくなると誤嚥性肺炎になりやすくなる
トイレに行きたくない→ストレス増大→睡眠障害→うつ病リスク増加
発災1週間
次の命の危機が待っている
発災1ヶ月
風評被害 関連死 仮設住宅不足 コミュニティの崩壊 外国人観光客の減少
リストラ始まる 子どもの転校 鉄道の大混雑 医療機能の停滞 行政職員の不足
1ヶ月後には、電気・ガス・水道・通信は回復
しかし、住む場所がない「住宅難民」
住宅が全半壊 約595万人 が住む場所を失う可能性がある。
140万人は親戚や知人を頼る
みなし仮設 78万人 プレハブ仮設 12万人 応急処理 74万人 自力確保 101万人
住宅難民 188万人
木造住宅が多い大田区、足立区、江戸川区では、それぞれ10万人以上になることが分かりました。
テント体験をして避難生活の予行演習をする(映像)
東京は、仮設住宅を建てる場所がそもそもない。東京一極集中を許してしまった地域政策に問題がある。経済的にはすごく効率がいい。ひとたび災害が起こるととんでもないことになる。 |
被害が出ていない地域、群馬とかに行って、仮設がない分を補う。
188万人全部をサポートできない。
避難生活を考えた暮らしをするのもいい。
高層マンションが多い東京で地震が起きた場合、住民同士の顔が見えにくく、(建て替えか? 修繕か?)合意形成はより難しくなると考えられている。
被災マンションに詳しい 千葉金蘭大学 藤本佳子教授
首都圏の場合は、特にマンションの規模が大きいですから、元々区分所有者がたくさんいる。そこで合意形成はかなり難しい。次々と入居者は出ていって空き家が増えてくる、状態になる。
都内には13万3188棟のマンションがある。前提の2割は、新しい耐震基準になる前に建てられている。1981年以前の旧耐震基準。熊本地震では新耐震基準のマンションにも被害が出た。
経済も深刻な影響を免れません。経済は180兆円規模。(1都3県)
大企業の本社機能集中するため、国の経済の根幹が揺らぎかねません。
経営システム 名古屋工業大学 渡辺研史教授
(日本全体の)ビジネスが縮小し、収入も減る。経済も縮小する。GNP (国民総生産)も縮小する。国力・活力が落ちてしまう。
専門家が、日本全体に甚大な影響を及ぼすと指摘するのが、1億トンの震災がれき
その量は、東日本大震災の5倍。
膨大な震災がれきは、東京の復興を妨げるだけでなく、各地に負担を強いる。
災害心理 東北大学 阿部恒之教授
日本中で処理するにしても、他の地方に大きな負担がかかる。
「なんで東京の復興にばかりお金を使う?」ということになって、復興に対する温度差が出てくる。助ける側にも負担が大きくのしかかる。これは首都直下型地震ならではの大きな問題になってくる。
首都直下型地震の経済損失は20年で731兆円。(土木学会の試算)
国民一人当たり600万円に負担。
防災科学技術研究所 永松伸吾 主幹研究員
日本が長期的に衰退していくその終わりの始まりが、正しく首都直下型地震、という気がします。
被災ツリーを遡ると、企業が日本離れを加速する原因が見えて来ました。
一つの中小企業から始まる被災の連鎖です。
「災害に耐える社会へ」放送最終日 7日目
火災による死者は1万6000人(内閣府被害想定)
しかし、初期の消化活動や、建物の老朽化を防げたら800人にまで減らせる、としています。
その対策の重点地域が古くからの木造住宅が密集する「木密地域(木造住宅密集地域)」
山手線の外側に広がるこの地域は、東京23区の25%を占める。180万人が住んでいる。
東京都は8年前から、建物の倒壊と延焼を防ぐため、道路の拡幅や建て替えの支援につとめてきました。
品川区豊町 しかし、多くの地域では十分には進んではいません。
住民の火災訓練の様子
自分たちで命を守る自治体。
「家事だ!」と大声で叫ぶ婦人。子どももミニ消化器を使って訓練。
積極的に訓練をする地域:葛飾区 堀切地区 都内でも古い木造住宅が特に密集し、道幅も狭い地域です。
小野アナ:「私の地域はどうなるの?」と関心のある方は被害想定マップ(内閣府)がホームページでご覧いただけます。
食べるものが足りない・物資の不足
食事は1週間合わせて3400万食の不足
(日本中の)ペットボトルの水は2週間でなくなる
それじゃ、備蓄が大事か? その前に・・・
ライフラインの停止、交通、公共インフラの被害、工場の停止などは、私たち以外の責任
北海道に1,000を超える店舗を展開するコンビニ セイコーマート
昨年、災害への対応で大きな注目を浴びた。
2018年9月 震度7が襲った、北海道いぶり東部地震
北海道全域が停電するブラックアウトに陥った。
スーパーやコンビニは相次ぐ休業に追い込まれた。
しかし、このコンビニは地震発生後も営業を続けられた。水やおにぎりを被災者に販売し続けた。
こうした対応を可能にしたのは、以前から会社が行ってきた、防災への投資。
停電でも車のエンジンから電気を繋ぐ、アダプター1台1,5000円を全店舗に配置
省電力レジの導入・・・
お店でご飯を炊くのはガス釜、災害時にはお弁当はやめておにぎりだけを提供するマニュアルも用意していた。
防災に投じたお金は3年間で20億円を超えた。
このコンビニが積極的に対策を行なっていたのは、北海道では雪で通行止め(車が動かなくなる)や、電車が止まるなどの事故が起きやすいからでした。
災害に強い店舗にすることで、営業休止のリスクを減らし、損失を抑えようとした。
セイコーマート 丸谷智保 社長
災害が毎年起こることを考えると、その中で企業としてやって、利益を上げている。利益を上げなければならない。
コンビニエンスという名前の通り、まさに災害時に便利になる。地域のインフラになる企業になる。地域の災害に対して、コンビニはどう対応すべきかまで考えなければいけない。
新浪(現サントリー社長 東日本大震災当時はローソン社長 店舗の復旧などを指揮した):
私たち企業は社会的責任より、街がなくなってしまったら、私たちの事業はなくなる。特に食品メーカーですから。社会に対する責任ではなくて、運命共同体。何が何でも供給を続けるために我々は頑張る。その時にいちいち、損得の計算はしない。何としても、この街と一緒になって、再興しよう! となる。これが私たちがやんなきゃいけないことで、これが責任。
小野アナ:新浪さんが言われるとかっこいいです。
新浪:先程のセイコーマートさん、素晴らしいと思います。そしてコンビニエンスチェーンのみなさんもそういう覚悟でされています。実は何度となく経験をしながら、BCP(ビジネスー コンティニュアス プラン)という、どうやったら経営を続けるか? その前に、社会をどうやって続けるか(コンティニュー)? 継続させるか? こちらの方が重要です。コンビニエンス企業さん、そう思われてますし、我々企業もそう。どうやって再興するか? をまず第一に考える。
焼津冷凍 冷凍食品などの保管を手がける倉庫会社
災害時にはこの倉庫から多くの物資が運ばれていきます。(トイレットペーパーなどが映される)
この会社では1台3000万円する自家発電機を購入するなど、防災への投資を行なってきました。しかし、その必要性(防災)を取引先にいかに理解してもらうか? が悩みの種でした。
事業部長:(取引先から)保管料を下げる依頼はありますよね。災害も周りがうまく回り始めると忘れちゃうじゃないですか。
社長:(防災への取り組みを)伝えていきたいよね。会社としては。
災害に強い企業であることを取引先にアピールするため、この会社が利用したのは、国が3年前から進める、「レジリエンス認証制度」
認証制度 審査員:備蓄とか防災に備える支援をしている取り組みは優れている。
なぜ、このような連鎖が起きるのか? みなさん、1週間ご覧になってお分かりでしょう。
これらの前提、ベースは、下敷きになっていること。 「東京一極集中」 東京一極集中が引き起こす被害は多岐にわたる。群衆雪崩、人口に対して避難所が足りず物資も不足、官庁や日本企業の中枢が集中している、指揮系統が混乱し対策が遅れることが懸念されている |
徐々に変えようと言う動きもある
外資系の保険会社 アクサ生命保険
東日本大震災をきっかけに、東京に集中していた企業体制を変えました。
アクサ生命保険 クリストフ・ヴェルモン 常務執行役員(フランス人?)
「みなさん、札幌と連絡が取れる体制はできていますか?」
そこで踏み切ったのは、本社機能の札幌に一部移転でした。
札幌本社
全国65都市の災害リスクを分析。総合的にリスクが低いとされた札幌に、保険金の支払いや契約などを担う主要な部署を移しました。
東京本社 1,500人に対し 札幌本社 500人 2本社体制となった
中林:命を守らなければいけないので、すぐできること、今地震が起きたらどうしよう?
3分間考える、ベストな答えがいざと言うときに咄嗟にできて、命を守る。
3分間の防災シュミレーションをする。
中林:最後の一言 「被害を減らすのは個人です。」
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