東日本大震災ボランティア
柴田神父は2011年6月に東日本大震災のボランティアに行き、あまりの状況に打ちひしがれながら10日間、ヘドロかきの作業をしていました。1日に2リットル、3リットルの汗をかいて津波の後片付けをしますが、自分が役に立っている感覚がありません。イエズス会に入会するまで12年間、プレハブ住宅の営業をしていました。家は、大切な家族の命を守るもの、家族の成長を見守るもの、と思って販売をしていました。自分の会社の家がどこよりも強い、とお客様に説明していました。でも、そんな努力も津波が流し去ってしまった感じがしました。
カブトムシで被災地支援
ボランティアを終えて山口教会に戻った後、何か被災地のためにしたいと思いました。はじめにしたことは、現地で活躍していた自衛隊員のような強い体に鍛えてもう一度ボランティアに行くことでした。炎天下の中、20分走りました。でも、2時間昼寝をしても疲れが取れません。これでは仕事に差し障る、と諦めました。
次に、目前に迫っていた山口教会と天使幼稚園の合同のバザー(サビエルの夕べ)で、カブトムシをお配りすることでした。「教会正面の亀山にカブトムシがいる」と聞いたからです。朝から、山に入ってカブトムシを探します。その時期がちょうど羽化したカブトムシが体の固くなるまで地中に待機しているタイミングでした。4日間、山でカブトムシを掘り探し120匹を捕まえました。途中、私をみかけ「大の大人が何してるの?」と不審に思って通り過ぎる人もいましたが「被災地のため」と思って続けました。捕まえたカブトムシは、つがいにして、バザーで幼稚園のお友達にお分けしました。いただいた募金をバザー全体の売り上げと合わせて福島のカトリック二本松幼稚園にお送りしました。放射能が混ざった雨が降ると、砂場が使えなくなりましたが放射能から守れる砂場小屋になりました。
秋になると、オスメスのつがいから卵が生まれ、幼虫になって私のところに戻ってきました。幼虫飼育マットを使い、栄養のある土をたくさん食べさせると大きな幼虫に育ちます。毎年、300〜400匹が私のところに戻ってきます。今年が10世代目です。幼虫は衣装ケースに入れて育てますが、底の方にフンをします。そのフンをふるいにかけて取り除き、新しい土を入れます。この作業が、3〜4週間に一度、3時間くらいかかります。でも、大きくて元気なカブトムシに育てるためには、この作業が大切です。幼稚園の子どもたちの喜ぶ顔が見たくて毎年頑張ってきました。
今年は日本に来られた難民支援に
今年4月には、山口県周南市から四ツ谷のイグナチオ教会に異動になりました。200匹は、幼稚園のお友だち、市内の幼稚園にお分けしました。100匹が四ツ谷にやって来ました。
はじめは、地下倉庫で飼育していましたが、温度が上がらず、6階のベランダに移動しました。30度を超えるようになると、また地下に移動しました。
今年のカブトムシは、日本に来られた難民の支援に当てたいと考えています。
カブトムシ生育の様子
お米のような白い卵が生まれます
卵が段々とふくらみ顔を出てきます
栄養のある土をたくさん食べて大きくなります(夏〜秋)
立派な幼虫になりました
幼稚園のお友だちに紹介すると、オスのカブトムシが飛んで大喜び!
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