福音朗読:マルコによる福音10:2〜12
今日の福音ではファリサイ派の人たちは離縁についてイエス様に質問していますが、その条件よりも、言葉尻をとらえてイエスを訴える口実を見つけるためでした。
ファリサイ派は「どんな理由だったら離縁がゆるされるのか?」と投げかけています。けれども、イエス様は創世記1章、2章を引き合いにして「結婚は神が引き合わせている」という、離縁そのものを否定しています。
神によって結ばれた男女は一体なので離縁できない、と言われます。
けれども、イエス様は離縁を禁じる社会運動をしようとした訳ではありません。男性の身勝手で離縁されて、弱くされている女性たちのことを慮っていました。 ファリサイ派たちは自分たちに有利になるように離縁の条件を解釈する、“自己都合の世界”に生きていました。イエス様は身勝手な男性から弱い立場の女性を守ろうとしていました。イエス様は一貫して、弱い立場の人を守ることを目指しておられましたが、離縁の話もそのひとつです。
“自己都合”なのか? 相手の立場、都合に合わせるのか?
先週、私はドイツのケルンに行ってきました。羽田からミュンヘンへ飛び、乗り換えてボン・ケルン空港に行きました。
姉がベルリンの壁が崩壊する頃ミュンヘンでピアノを学んでいました。
「イエズス会に入りたい」と言った時、姉が「あなたは歌が歌えるの?」と聞きましたが、その意味がわかりました。神父さんたちは歌がとても上手だったからです。
特に司教代理のアスマン神父様はお上手でした。
「どうやって歌を学ばれましたか?」と聞いてみたら「母に教えてもらいました」と答えられました。歌の素地がないとケルンでは司祭になれないように感じ、姉の質問の重みがわかりました。
ケルン教区と東京教区は、今年、友好関係を結んでから70年になります。70周年の記念にケルン大聖堂での3人の博士を記念する荘厳ミサに招かれ共同司式してきました。
ケルン教区と東京教区が友好関係を結んだのはこのような経緯です。
第2次世界が終わって9年後、1954年、ケルンがまだ苦しい時代に、フリングス枢機卿はもっと必要のある教会を助けるようと考え、土井辰雄枢機卿と面談します。そして「あるからとか、余力があるから差し上げるのでは、福音の精神ではありません」と東京教区への支援を信徒に呼びかけます。
そしてケルン教区は東京教区への支援を始めます。具体的には今の関口のカテドラルの90%以上をケルン教区が支援して東京カテドラル聖マリア大聖堂ができたようです。フリングス枢機卿は、平凡な教会ではなく新しいデザインの教会を建てるように勧めたそうです。それだけでも驚くべきことですが、ケルン教区からの支援はカテドラルの建築費に限りません。
上智大学の大橋学長がフリングス枢機卿に面会した際、文学部はあるがまだ法学部ないことを伝える。「法学部がないのは大学ではない」と言われました。「法学部を作るのにいくらかかるのか?」と言われ、大橋学長が思いつきの金額を言うと、それに近いお金を作ってくれたそうです。そのお金で法学部ができました。
1962年4月開設に開設された理工学部もフリングス枢機卿が建設資金を援助してくれた。実験器具・装置の購入も、ドイツのシーメンス社と共に支援してくれました。
そして前のイグナチオ教会、今年献堂25周年を記念しているイグナチオ教会についても、金額ははっきりしませんが、かなりの額を寄付してくださっています。それらは、ヴァチカンを介せずに教区の間、教区とイエズス会がお互いに助け合うという稀に見るケースが成立したケースです。
自分の都合を考えたら、戦争で傷んだケルンの教会の修復が優先でしょう。けれでも、フリングス枢機卿は両方の再建を目指しました。
ある信者さんのケルン教区への感謝の言葉です。
戦後、焼け野原の中、自分たちの再建のための貴重なお金を、困っている時はもっと困っているところへと、東京教区の教会再建のために、下さったその行為は、真に信仰の証で、決して消えることのないキリストの愛の炎を感じます。東京教区の一信徒として感謝の気持でいっぱいです。
「夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか?」
ファリサイ派は“自己都合”しか考えていませんでした。
一方、フリングス枢機卿は「あるからとか、余力があるから差し上げるのでは、福音の精神ではありません」と言われます。 この違いを考えましょう。
ケルン教区は、“自己都合”ではなくて、同じ敗戦国の日本の教会を助けてくれました。 私たちも、“自己都合”ではなくて、弱い人を助けていきましょう。
9月27日(金)ケルン大聖堂で3人の博士を記念する荘厳ミサ、共同司式
(ケルン ドームラジオ局制作)
柴田神父が写っている部分
20分50秒 司祭団の入堂の最後の方
22分40秒 左上 23分40秒 24分55秒 祭壇左側(ろうそくの奥)
31分15分 東京からの紹介(ようこそ)
1時間44分40秒 聖変化前
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