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年間第16主日 人里離れたところで休む(マルコ6:30〜34)

 今日は、「人里離れたところへ行ってしばらく休む。」「飼い主のいない羊のような群衆を見て深く憐れまれた」2つの箇所を考えます。



(1)「人里離れたところで休む」

 1つ目、「人里離れたところで休む」。どういうことでしょう? もちろん体を休めることもあります。皆さんは別荘に行くことを考えるかもしれませんが・・・今日は、お祈り、黙想について考えます。

 黙想(特にカトリックでは)を英語で”Retreat”と言います。黙想の家は”Retreat House”です。この”Retreat”は、“退却する・後退する”という意味もあります。生活の最前線から一歩退いて“祈る”・・・発展して世間から退いた生活をする“隠遁”も”Retreat”です。


 ”Retreat”をどんな心構えでしたらいいのか? 本からヒントをもらいます。

 シカゴで枢機卿をされたジョゼフ・バーナーディン枢機卿は、亡くなる前に「やすらぎの贈り物」(女子パウロ会 2003年)という本を書かれました。晩年の厳しい試練や悲しみの時に、心が平和だったことを書いています。試練には、ガンが見つかったこと、ひどい中傷を受けたことも含まれています。「こんな試練に会うとは想像もしなかった」と枢機卿は言います。けれども、乗り越えました。そういう経緯で「やすらぎの贈り物」が本の題名になっています。

 30年間、司教としてもよく働き、祈りにも時間を掛けていました。そんなある日、神父たちと食事をしていた時、祈りの話しになりました。司祭たちの熱のこもった祈りの話を聞きながら、「自分は、働いた後の余った時間に祈っていること」に気がつきました。そして「状況を逆転させなければならない」と思います。

 枢機卿は、「神様に質の良い時間を捧げる」ことを一番にし始めました。1日の生活の貴重な時間、最上の時間を神様に捧げようとします。祈りの時間を、1日働いた後の残りの時間ではなく、神様のためにだけ取って置かれる貴重な時間にします。祈りの時間に、どのように感じ、何が起こるのかが重要ではありません。ともかく、神様のために時間を取って置くことが大切です。

 祈る時間と働く時間を逆転させるうちに、だんだんと生活が変わっていきます。一番にすることと、その次に大事なことを見分けられるようになります。

これが”Retreat”の心構えです。私たちの貴重な時間を神様のためだけに捧げることが大切です。

(2)「飼い主のいない羊のような群衆を見て深く憐れまれた」

 2つ目の話です。「飼い主のいない羊のような群衆を見て深く憐れまれた」。枢機卿は、祈る時間と働く時間の優先順位を逆転させたことが、自分自身の心の平和になった、とまず感じました。さらに良いことには、神様のために捧げる貴重な時間が周りの人にも波及するのを感じます。どうしてかというと、仲間への心遣いが、ただの世話や奉仕だけではなく、内的な平和、喜びを添えた奉仕になったからです。平和と喜びに満ちた枢機卿の振る舞いは、周りの人たちのも良い影響をもたらしました。

 神様に貴重な時間を捧げることが「飼い主のいない羊のような群れ」「平和や落ち着きを求めている人々」に良い影響を与えていきました。

 神様にとって善いものは、私たちの身近な人にも善いものです。私たちの心に平和や喜びがあれば、周りの人にも伝わります。

 枢機卿が「心の平和」を得られたのは、質の良い時間を神様に捧げたからでした。日曜日の朝、貴重な時間を皆さんは神様に捧げています。この時間をミサ以外の生活に広げて、さらに周りの人にも広げていきましょう。「心の平和」が広がるように願いましょう。

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