仕事の体験から
1つ目は私の住宅会社の営業マンの体験です。 12年間、住宅会社の営業マンをしていましたが、中には気難しくてどう関わったらいいか、悩むお客様もおられました。打ち合わせの途中で、座卓を蹴り出したり、罵声を浴びせられたり・・・普通の方は、和やかに打ち合わせが続くのですが、この方は特別で、毎回何が起きるかビクビクしていました。そうこうするうちに、100坪の2世帯住宅は完成し、お引き渡しの日が近づきます。
ところが「数千万円の残金は建物の出来を見て支払うか決める」と言われます。
これは、本当に困って悩みました。
「今から営業マンの自分にできることは何だろう?」考えるうちに「掃除を徹底的にしよう!」と思いつきます。もちろん、専門のクリーニング業者の清掃は済んでますが、より綺麗に、食器などもそのまま入れられるまで、綺麗にしよう、と思い立ちます。
仕事が終わってから夜8時から12時まで、翌朝5時から8時まで。掃除道具を持って、汗を流しながら、床を拭いて、ガラスを拭いて、食器棚の中も拭いて・・・。引越されて、ご家族が楽しく、末長く健康に過ごせるように、願いながら掃除を続けました。
これで、数千万円の残金がいただける可能性が高くなっているかはわかりません。でも、自分としてはやり切った、気持ちにはなれてきました。
そして、お引き渡しの当日が来ました。「ご主人様の態度がどうなのか?」とても心配でした。ところが、終始上機嫌でした。残金の小切手もいただきました。
それだけでなく「柴田さんにお願いしてよかった。いろんな業者がいるけど、だまされるんじゃない?と心配していた。でも立派な家ができて本当によかった。知り合いで家を建てる人がいたら、ぜひ柴田さんを紹介したい。」とまで言ってくださいました。
こんなお言葉をいただけるとは思ってもみなかったので、心にしみました。机を蹴飛ばしたりしていたご主人様がどう変わったのか?私にはわかりません。
大事なことは、お客様がしてもらったら喜ばれることを最後までしよう、という気持ちだったと思います。
後日談ですが、イエズス会に入る前、ご主人様にお別れのご挨拶に行きました。すると笑いながら「柴田さんにはその方が向いてる。頑張ってください。」と励ましてくださいました。静岡の聖光学院のご出身でカトリックのことをご存知でした。苦しいこともありましたが、貴重な体験をさせてもらいました。
小さき花のテレジア
2つ目は、小さき花のテレジアのお話です。
今日の福音を、テレジアは修道生活の小さな出来事で実践していました。『テレーズ その生涯における苦しみと祈り』などから。一部表現を変えています。
テレーズは、修道院の中で、人付き合いが難しく、トラブルを起こす人に、親切な態度で近づき、その人が親友と思わせるほど、親しく関わりました。
黙っていたいときに、相手に一言親切な言葉をかけたり、ほほえんで見せる。 一人、ポツンといるシスターのそばに座る。 フランシス・ホーガン著 山口カルメル会訳「テレーズ その生涯における苦しみと祈り」女子パウロ会 1998年
テレジアは、このような小さな機会でイエス様を喜ばせることは、世界征服や雄々しく忍んだ殉教にもまさる、と考えて実践していました。このような機会を、ただの自己犠牲ではなく、神との一致の手段にしました。
今日は、住宅営業の私の体験と小さき花のテレジアの体験をご紹介しました。どちらも身近な出来事、生活の中での出来事です。私たちも、毎日の生活の中で「人にしてもらいたいと思うことを、人にもできるように」していきましょう。
Comentarios