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年間第30主日 イエスのみ名を唱える祈り

福音朗読:ルカによる福音 18:9~14

 

今日の福音で、徴税人は、「胸を打ちながら『主よ、罪人のわたしを憐れんでください』と叫んでいます。貧しい立場から神に願っています。この徴税人の叫びの願いが「イエスのみ名を唱える祈り」になりました。今日はそのお話しです。


私は、自分の弱さや至らなさを感じると、徴税人の気持ちになってお祈りをします。

最近では、地下の倉庫で育てているカブトムシの幼虫の件で注意を受けました。飼育している土にコバエがたかり、死骸が散乱していたのです。だから、「倉庫から移動して欲しい」と。もっとまめに掃除をしたりしていたらよかったのに、忙しさにかまけてしなかったのを指摘されて、気持ちが沈みました。その日の晩、カブトムシの幼虫を駐車場に移動しました。その時にも「イエスのみ名を唱える祈り」と繰り返して唱えました。徴税人の叫びの祈りです。

この「イエスのみ名を唱える祈り」について説明をします。「イエスのみ名を唱える祈り」は、「主よ、憐れみたまえ。キリスト憐れみたまえ。」という短い言葉を繰り返す祈りです。徴税人が「胸を打ちながら」叫んだ言葉が取られています。


主聖堂の祭壇と生け花、イエス様と十字架。

キリスト教では、伝統的にイエスの名を呼ぶことに救いの力がある、と考えてきました。3世紀の砂漠の隠修士エジプトのアントニオスは、手仕事の間に「主、イエス」の名前を心に留めて黙想するよう指導しました。そして、口で「主イエスよ、憐れんでください」と祈りなさい、と教えています。


19世紀にロシアの『無名の巡礼者』という本が出版されると、「イエスのみ名を唱える祈り」が世界中に広がります。この巡礼者は、妻子を失う辛い体験を経て、巡礼の旅に出ます。そして、巡礼中に訪れたある教会で朗読されたⅠテサロニケ5章17節の「絶えず祈りなさい。」の箇所が心を強く打たれ、文字通り実現するにはどうしたらいいのか日夜考え始めます。

祈りの先生を探すうちにやっと出会った方が、「イエスのみ名の祈り」を伝授します。先生は、「この祈りを一日に500回唱えなさい」とまず教えます。そして日を追うごとに回数を増やすように指導して、一日に6,000回まで増やしました。巡礼者は、先生の教えに改善を加えます。彼は、祈りを呼吸に合わせることを学びました。祈りと呼吸の合わせ方にはバージョンがありますが、例えば「主よ」と言った時に息を吸う。「あわれみたまえ」と言う時に息を吐く。ただそれだけを繰り返します。呼吸と結びついた祈りが身につくと、神との一体感が深まります。巡礼者はどこにいても神が共にいてくださることを実感します。自然であったり、巡礼中に出会う様々な出来事からも神の栄光を称えるようになりました。


私は、この祈りは、祈る時間が確保しにくい現代人にとても役立つと思い試しました。

ゆっくりと長く吐く息に合わせ「主よ、あわれみたまえ」と唱え、吸う息では何も唱えず、次の吐く息に合わせて「キリスト、あわれみたまえ」と唱える。そうすれば自分の体に馴染むことをつかみました。また、この祈りは、ロザリオを唱える元気も出ない時に、特にも有効な祈りです。頭で考えるより、イエスに助けを訴える。「神様、こんな弱く、惨めな私に働いてください」という気持ちで唱え続けます。神学生の頃、人間関係で悩んで弱っていた時、布団の中で眠れるまで、この祈りを唱え続けて苦しい時期を乗り越えることができました。それ以来、特に自分が弱っているときに「イエスのみ名を唱える祈り」を唱えています。


今回は、カブトムシの移動をしながらでしたが、唱えて、前向きな気持ちになれました。今週は、金曜日に、近くのご家族が来られて一緒にカブトムシの土替えをします。年長さんの女の子は、大の虫好きで、誕生日プレゼントがカマキリの卵だったそうです。餌はペットショップで買ったコオロギ。「メスがオスを食べるんだよ」と教えてくれました。カブトムシを一年飼うにも気落ちする時もあれば楽しい時もあります。


「主よ、憐れみたまえ」「キリスト憐れみたまえ」 

いつもイエス様がそばにいてくださる感覚で1週間を過ごせますように。


 

10月23日・年間第30主日 10時ミサ中、幼児洗礼式が行われました。

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