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主の奉献

  • shibatakiyoshisj
  • 2月19日
  • 読了時間: 4分

福音朗読:ルカによる福音 2:22~40


 

「初めて生まれた男の子は神様のもの」という考えに基づいて、両親は生まれて40日目に男の子を神殿に捧げます。といっても、神殿に行って子羊1匹と山鳩一羽(余裕のない人たちは鳩二羽)を捧げて、神様から自分の子を買い戻してきます。本気で、神様にわが子をお捧げすることもできないので連れて帰ります。本音と建前の違いがあります。


ヨセフとマリアも、習慣にのっとって神殿に行きます。そこに思いもかけず、シメオン、アンナという老人が現れます。2人は、建前ではなく、実際に神に捧げる生き方をした人たちでした。イエスが成人して、本当に神の人となり、すべての人に仕える者となることを予告し、神を賛美します。 特にシメオンは、イエスの奉献が本物になるほど、苦しみに満ちたものになることを生々しく予告します。 とはいえ「儀式」を終えると、ナザレに帰っていきます。


2025年2月9日 主の奉献の祝日 主聖堂

昨日は奉献生活者のミサがありました。

「主の奉献」の祝日、奉献生活者は、イエスのように、神様に自分をお捧げする決意を新たにします。「主の奉献」の祝日に、修道誓願を生き抜く恵みを願います。


自分はどのように手に自分を捧げるのか? 神学生の時わたしは、聖マリア・ヨハネ・ヴィアンネ(教区司祭)をお手本にしました。


ヴィアンネは、日本なら江戸時代の後期に18世紀フランスのリヨン地方の小さな村で生まれました。当時は、フランス革命の影響で、公にミサを立てることができず、神父は変装して信者の家でミサをしなければいけませんでした。ヴィアンネ少年も、そのようなミサに与りながら、13歳の時に初聖体を受けました。そして、「18歳の時に神学校に入りたい」と父に打ち明けますが、家畜で生計を営む家族の大切な働き手だったので、家計のために一度は断念しました。20歳になって家族に認められてやっと神学校に入ることができました。


けれども、これまで全く教育を受けられなかった、ヴィアンネは壁にぶつかります。特にラテン語の試験はいつも落第でした。語学ができなければ、司祭にはなれない時代。

ビアンネは、ラテン語を勉強する時に、全神経を集中しました。全くできないラテン語に集中したことが彼を聖人にしました。 今やってることに、不得意だったけど集中する。・・それが祈りでした。 その集中力が聖人になるきっかけになって、ヴィアンネを神様に結びつけました。


「得意でないことに、心をこめて、集中する」 奉献生活者の1つの手本です。 私の場合、哲学が不得意でした。 リーゼンフーバー神父さんの形而上学にはかなり時間を割きました。一番前の席に座って、テープで講義を録音して、文字起こします。90分の授業に6時間かけて、文字起こし。それを2時間かけて読み直す。それでもよくわからない。 


毎回の講義がそんな調子でした。学科の試験は、まずまずでしたが、イエズス会のユニベルサ最終試験では、教えてもらってないことを聞かれてズタズタな結果でした。 けれども「得意でないことに、心をこめて、集中」はしました。 一般では、得意なところを伸ばしていきますが、奉献生活は従順が問われます。 神様(所属する修道会)に信頼して、神様に自分を預けられるか?が問われます。


ですので、自己実現のため、たとえば「哲学の先生になりたいから司祭を志す」というのは違うのでしょう。 「哲学の先生の道が閉ざされたら司祭になっても意味がない」となりかねません。やりたいことより、修道会のためになることを。 自分を傍に置く体験をしていきます。


イエスは、30歳を過ぎて故郷のナザレを出て、父なる神様にすべてを委ねました。神の国のために自分のすべてを捧げて、最後は十字架上で血の一滴までも捧げつくしました。赤ちゃんの時に捧げられた「奉献」は、文字どおりの「奉献」になりました。 


最後に「聖イグナチオの自分を捧げる祈り(スシペの祈り)」を唱えます。


主よ、わたしの自由をあなたに捧げます。 わたしの記憶、知恵、意志をみな受け入れて下さい。 わたしのものはすべて、あなたからのものです、 今、すべてをあなたに捧げ、み旨に委ねます。 私に、あなたの愛と恵みを与えて下さい。 わたしはそれだけで満たされます。それ以上望みません。

私たちそれぞれが自分を捧げていきましょう。


聖イグナチオ教会 マリア聖堂 聖イグナチオのステンドグラス


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