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主の公現

福音朗読:マタイによる福音 2:1〜12

 

今日は、「新しい王が生まれること」への、ヘロデ王と占星術の学者たちの対照的な態度から考えます。占星術の学者は、天体観測の専門家ですが、政治にも口を挟めるほどのエリートでした。3人は私財をなげうって特別な星を追い求めます。苦労が多く、不便な旅でしたが、天体の専門家にとってワクワクする出来事でした。彼らは未知の世界に期待を持てるロマンチックなところがありました。イエス様を丁寧に礼拝し、贈り物を献げます。



一方、ヘロデ王はどうでしょう?ヘロデは、有能な政治家でした。政治、経済、軍事全ての面で権力を握っていました。だから「新しい王が生まれた」と聞いて強いショックを受け動揺します。彼は、自分を脅かす者には残酷でした。自分の奥さん、奥さんの兄、奥さんのお母さん、おじさん二人、自分の息子も3人殺しています。だから「新しい王が生まれる」と占星術の学者から聞いて、殺すことに迷いはありませんでした。神様の計画をつぶそうとします。

そんなヘロデの心を見抜いて占星術の学者に「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがありました。「新しい王が生まれる」のを「探しに行って喜ぶ」占星術の学者。「不安になって抹殺する」ヘロデ。同じ出来事でも受け止め方が対照的でした。

私たちにも同じ出来事でも受け止め方が違ってくることがあります。


 

赦しの秘跡を授けてこられた桜井神父さんが12月19日に入院されました。急に、飲み込む力、足で立つ力がなくなりました。私は、岐部修道院の院長なので平日は毎日お見舞いに伺っています。

「体調の変化に気づいていたのに何か手立てがなかったのか?」後悔がもたげます。

お見舞いに行く時も「今日はどのような状態だろうか?」帰りには「これから先、どうなるだろうか?」不安がもたげます。

そんな中、お医者様がこう言われました。「急に、飲み込む力、足で立つ力がなくなった原因にギランバレー症候群(末梢神経が障害されることによって脱力・しびれ・痛みなどの症状が引き起こされる病気)が考えられます。治療方法として免疫グロブリン製剤を投与すると効果が出る可能性が高い」とのことでした。

私は献血が趣味で2週間に一度しています。献血には2種類あって、血をそのまま抜きとる全献血と、成分献血と言って医薬品などに必要な成分(血漿・血小板)を抜き取って、残りは体に戻す献血があります。桜井神父さんの治療に使われる、免疫グロブリン製剤は、私がしている血漿の成分献血で作られます。これまで漠然と人助けのために献血してきましたが、桜井神父の治療で実際に役立つことがわかりました。また、自分の体の中に人を助ける働きがあることもわかりました。不安ばかりではなく、これまでしてきたことの意味がわかりました。桜井神父さんに投与されている免疫グロブリン製剤の効果が出るのは1ヶ月先になりますが、それでも期待しながら待てるようになりました。


 

私たちの生活でも、後悔したり、先が見えなくて不安になることがあります。でも、その不安が、これまでしてきたことの意味を発見したり、新しく何かを始めるきっかけにもなります。

私の場合は、年末の桜井神父さんの入院で不安を抱えていますが、自分の体の中に人を助ける働きがあることがわかりました。

日本全体では、能登地震、羽田の飛行機事故、悲しい出来事で始まりになりました。それでも受け止め方によっては意味を変えていけると思います。不安にからみ取られないで何かを始める、他人事にしないで教会や生活の防災を見つめ直すきっかけにもできます。 不安は確かにありますが、見方を変えて取り組むことで、後になったら何かが強化されることもあります。

不安からスタートしても、私が献血の意味を再発見できたように、新しい一年、出来事の意味を考えて何かに取り組んでいきましょう。教会では能登地震の募金を始めました。できる協力をしていきましょう。


ベツレヘムに星を見つけて喜ぶ博士たちのイラスト


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