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復活節第6主日

福音朗読:ヨハネ14:15〜21

 

来週が主の昇天、再来週が聖霊降臨、その翌週には三位一体の主日を迎えます。 そこで今日は、これからの典礼を見越して神学的な話しをします。(神学部で岩島神父さん三位一体論の内容です)



主聖堂脇の聖母子像

救いの計画

キリスト教の神、三位一体の神は、救いの計画を3つの場面、第1幕から第3幕までで考えます。


第1幕は、ユダヤ教と同じ神、父なる神です。父なる神は、天地万物の創造主です。全能の神で、すべてを存在させるいのちの源です。けれども、ユダヤ教徒たちは、直接神を見たら死んでしまうと怖れていました。父なる神は、人間から遠いところにいました。 そこで、父なる神は、イエスを遣わして人間に急接近されました。重い病の人を癒したり、失われた1匹の子羊を探したり・・・イエスの目で見える行いによって父なる神の憐れみ深さが示されました。ここまでが第1幕です。


第2幕は、イエスに働く父からの聖霊の力です。イエスの力ある業にはいつも聖霊が働いていました。有名なベルゼブル論争(マタイ12:28他)ではっきり示されています。

「私が神の霊で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はすでにあなた方のところに来ている。」 

イエスの偉大な業と父から与えられた聖霊の働きは切り離せません。 

イエスの苦難に満ちた死と、劇的な復活の後に初めてキリスト者に聖霊が注がれます。


第3幕は、弟子たちに、また、私たちに働く聖霊です。

イエスは「私は父にお願いしよう。父は、別の弁護者を遣わして、永遠にあなた方と一緒にいるようにしてくださる。(14:16)と聖霊を派遣する約束をされました。

イエスが生きている間は、イエス自身が神の救い担い手でしたが、イエスが昇天してからは聖霊を受けた弟子たち(使徒書1:1~2)が、神の救いの計画を担います。聖霊が弟子たち、また私たちのうちで働いて、人々をいやしたり、励ましたり、慰めたりするのが第3幕です。


このように、第1幕から第3幕までを通して人間を救おうとされるのが、三位一体の神です。キリスト者は、三位一体の神を信仰しています。

私たちは、神の救いの計画の第3幕を生きています。では、神の救いの計画の第3幕を実現するために注がれている聖霊にはどのような働きがあるでしょうか? 聖霊の働きを4点から説明します。


聖霊の働き


2023年5月14日 10時ミサは子どもとともにささげるミサ
2023年5月14日 子どもとともにささげるミサ

1つ目は、方向づける力です。

ヨハネ福音書16章に「真理の霊は、あなたたちを導き、真理を悟らせる」(16:13、14,26参照)という言葉にあります。聖霊は、私たちを正しい方向へ導いて、救いや真理に到達させてくれます。磁石が北を指し示すように、聖霊は私たちを真理に方向づけます。反対に「闇」の中にいる時は方向感覚を失っています。

仕事中毒と言う言葉があります。かつての私もそうでしたが、この状態に陥ると、仕事を一生懸命していても、自分の人生がどこに向かって進んでいるのか分かっていません。ひた走っているのに、どこにたどり着くのか分からなくなっています。聖霊は、このような「闇」の状態、暗中模索の中で走り続ける状態から抜け出して、神様がいらっしゃる場所へと案内してくれます。


2つ目は、自分を一つにまとめる力です。

どこに向かって生きているのか分からないと、やっていることに一貫性がなくなっていきます。行動も支離滅裂になっていきます。今の苦しみから抜け出すためにいろいろなものに手を出すけれども、すぐに別のものに乗り換えてしまいます。手当たり次第に関心のあるものにエネルギーを注ぐけれども、まとまりや首尾一貫性がなくて結局なにも実りません。聖霊は、このようなバラバラの自分を1つにまとめていきます。あちらこちらに気が向いていた自分に統一感をもたらしてくれます。


3つ目は、刷新する力です。

長く同じ環境にいて慣れてくるとマンネリに陥ります。停滞した雰囲気の中にいると、改善するよりも、このままでいい理由を挙げる方に頭が回ります。あるいは複雑に状況をとらえ過ぎてしまいます。聖霊は、一風のさわやかな風を送り込んで、新しいものの見方を提供してくれます。物事を複雑にするよりも、シンプルに見つめ直して問題点と改善方法を指し示してくれます。


4番目は、私たちが最も求めている慰める力、勇気づける力です。

「慰め主 聖霊」(パラクレートス)です。世の中、競争社会の影響でどんどん瀬血がなくなっています。人のために何かをする余裕も失っていきます。振り絞って頑張っても「せっかくみんなのためにと思ってしたのに、無駄なことをしたのか?」「自分のことをしておけばよかったのか?」と疑問を持つこともあります。そんな時に聖霊が私たちを慰めてくれます。世の中は、単純に信仰を生きることが難しくなっているので、聖霊が今まで以上に働いてもらうことを願いましょう。


聖霊は、どんな時にも私たちを正しい方向に導こうとし、私を取り戻させ、新たに生まれ変わらせ、励ましてくれます。聖霊の働きに敏感になって神の救いの計画の第3幕を力強く演じていきましょう。



 

カルロ・マリア・マルティーニ枢機卿著 『キリストの友となるなるために』松本紘一訳 女子パウロ会 1986年 (一部表現を変えています)

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